現実モデリング

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日記2022/09/11:転職

転職した

 

転職してから2週間たった。

 

学生時代は経済学をやっていた。前の会社は典型的な日系SIer(N〇Tの一部)で、そこのデータ分析部門にいた。希望通りの配属だった。

データ分析を仕事にする人間にとっては喜ばしいことに、データは大量にあった。分析基盤も整備されていた。Snowflake, SAS, Sagemaker...

残業も0時間だった。

 

不満は?

寛政の改革の時期に詠われた狂歌にこんなものがある:

「白河の 清きに魚も住みかねて 元の田沼の 濁り恋しき」

環境の「清さ」については欠点を探すのは難しかった。残業なし・ハラスメントなし...

 

清い環境は何よって保たれるだろうか?

1. くさいものにふたをするアウトソーシング、労働集約への固執

数十年前に作られた勤怠管理システム。使い勝手が悪い。Google WorkSpaceの10分の1のユーティリティと10倍の維持コスト。100倍の奪われるリソース。複雑すぎて誰も使いこなせないから、長い時間のかかる事務作業を派遣に投げている。もうすでに多額の資金を投入してしまったから撤退もできない。当時の開発担当者はもういない。改修もできない。残された手段は0からのスクラップ・アンド・ビルドか外部ツールの導入だが、リソースが足りないので再構築はできず、時代遅れの情報管理規定とカニバリゼーションへの恐れのせいで外部ツールの導入もできない。したがって、我々労働者は使いづらいツールをずっと使い続けることになる。

皮肉なのは、社内で使っている人間はみなその勤怠管理システムの使いづらさを知っているにもかかわらず、営業部門は外販を拡大しようとしていることだ。作られた当初は革新的だったのは間違いない。情報技術全体の革新のスピードに追い付けなかった、哀れなモノリス、そのモノリスに執着するせいで奪われるヒト・モノ・カネ、本質的な問題解決につながらないアウトソーシングインセンティブによって被害者の拡大に寄与してしまう営業部門....

 

2. 先送りにされる業務効率化

使い勝手が悪いのは勤怠管理システムだけではない。自社開発されたファイル共有システムもそうだった。時代遅れの情報管理規定。クラウド型の共同編集ができるドキュメントアプリ(例えばGoogle Document, Notionなど)が利用できない。アプリの導入一つで簡単に解決できる問題のために、頭を抱えた。イノベーションのジレンマ....

新しいツールを使いこなすためには勤勉でなくてはいけない。勤勉さは、好奇心や責任感、労働集約的な作業を嫌う怠惰さ、強い目的達成志向、キャリア志向によって生まれる。偽りのやさしさは勤勉さを阻害する。

 

3. 偽りのやさしさ

やさしさには二種類ある。対価を求めるやさしさ(「私はあなたにやさしくするから、あなたも私にやさしくしてね」)と、対価を求めないやさしさ。「N〇T系の会社にはいい人が多い」という噂は本当だったが、「対価を求めるやさしさ」だった。

完成されたシステムの元に残り続けるのは、そのシステムを維持しようとする人間だけ....

 

転職先が決まったので辞めることにした。給料は上がった。半年間ありがとうございました。