現実モデリング

データとかエンジニアリングとか健エミュとか

近況報告:2024-04-24

最近起こったこと、やっていることなどを共有したい

転職活動について

今年の1月から転職活動を始めている。転職活動を始めた理由は複数あるが、いろいろ書いていこうと思う。なお、2024-04-24現在のステータスは「振出しに戻った」である。

ダークサイド

まずはネガティブな理由から

Web広告・ダークサイド

今いる会社はWeb広告系の会社なのだけど、Web広告業界そのものに嫌気がさした。

端的に言って、Web広告は以下の二つのうちいずれかである:

  1. 無課金ユーザーに対するペナルティ
  2. ×(バツ)ボタンを押せないユーザーに対する嫌がらせ

自分のやっている仕事を職場外の友人に話したときの感想は大体似たようなものだ。いくつか抜粋する。

  • 「悪の枢軸」
  • 「早くやめた方がいいんじゃないの」
  • 「自分が使いたくないもの作ってて楽しいの?」

まさにその通りだ。特に3つ目が効いた。このはてなブログを書いているブラウザにもアドブロックが入っている。

残念だが、自分の頭では新たなWeb広告の可能性を思いつくことはできなかった。日本のベンチャーなんかより全然金も頭脳も持っているGoogleやMetaやLINEの広告プラットフォームがあんなザマなのを見ればお察しだろう、誰もWeb広告の可能性を思いついていないのだ。

広告業界そのものが腐っているのも理由にはなる。端的に言えば、広告業界は寡占業界だ。広告を出したい「広告主」と実際に広告を出す媒体を持つメディアをつなぐ「代理店」の中でも、わずか数社程度の大手広告代理店が圧倒的な売り上げシェアを誇る。だから大手広告代理店を抑えることがWeb広告の商売では大事になる。実際、Web広告業界の企業では大手広告代理店が直接出資しているところも多い。

2015年に電通が過労死事件を起こしたのが記憶に新しい人も多いだろう。9年経ったが、そのカルチャーは消えていない。さすがに露骨に押し付けてくることはしないが、カルチャーは伝播する。寡占状態ではなおさらだ。大手広告代理店のカルチャーが人材交流の形で下流にも伝播する。そんな環境で革新的なプロダクトなど作りようもない。

データ・スペシャリスト・ダークサイド

自分は今までデータのスペシャリストとしてキャリアを歩んできた。最初はデータアナリストから始め、アナリティクスエンジニア、データエンジニアを務めたのち、今は「データに関することを大体何でもやるチーム(仮)」のマネジメントをしている。人手不足の時は現場に出る。

データの仕事のいいところはレバレッジが効くことだ。少ない労力で多くの収穫を得られる。いいダッシュボードを作ればみんなが見てくれる。データを整備すれば意思決定はスムーズなものとなり、データの民主化ができているならスケールもしやすい。

ただしそれは弱点でもある。データはしょせん意思決定材料のうち一つにすぎない。直感は無下にできるものではない。データそのものがプロダクトとして活きるのなら別だが、そうはならなかった。

ログ設計はやった。データもとれている。示唆も出た。でもエンジニアの人手が足りないのでその話は終わり。そういうことを何回も繰り返してきた。

だからデータアナリストは不要な仕事だと結論付け、誰もがデータを利用できるよう整備し、使いやすいデータパイプラインを作り上げ、ダッシュボードを作り、Streamlitのアプリケーションを作り、アナリティクスエンジニアを養成し、自称データアナリストを滅ぼしてきた。「データアナリストを滅ぼし、誰もがデータを利用できる状態を作ること」それが今までの自分の仕事だった。経営アナリストを滅ぼすのを次にやりたいが、機密情報とかあるから難しいか...

「データ・ドリブン」は幻想だ。目指すべきでない。そこに未来はない。「データ・ハンドリング」を目指すべきだ。ドライブするのは人の情熱であり、操縦の根拠のうち一つとなるのがデータ、その程度が落としどころだろう。データで人を導こうと思ってはならない。それは幻想であり、傲慢なのだから。

ライト・サイド

次にポジティブな理由を挙げる。

プロダクト本体にかかわりたい

理由は二つある。

1: データの人間としての力不足を感じている以上、プロダクトそのものに踏み込みたい気持ちが強くなった。

データはあくまでも間接的なエンパワーメントに過ぎない。直接的に踏み込まない限り、本当に良いものは作れない。良いものを作りたい。

2: 健エミュの開発をしていて、プロダクト自体にかかわっていく楽しさを知った

健エミュはまだ開発途上だが、月間ユーザー数*1が1万ユーザーを超すまで育った。機能に関する意思決定をし、実装し、データを分析してPDCAを回していくのは楽しい。できることならこれを仕事にしたいと思った。

できること

最後に、今まで培ってきた「できること」を一通り書き起こして転職活動に関しては締めようと思います。

  • データパイプライン関連
    • アーキテクト業務
      • 技術選定の実施
      • チームメンバーへの技術普及
      • ドキュメント作成・コストプランニング
      • 要求・要件の掘り起こし、文章化まで
      • そのほかステークホルダーマネジメント
    • データエンジニアリング業務
      • Snowflake, dbt, dagsterに関しては他人に教えられるレベルで経験あり
      • BigQuery, Amazon Athena, AWS Glue, Airflowは「使える」程度
    • アナリティクスエンジニア業務
      • dbtによるパイプライン構築、Streamlit, Looker Studio, Amazon Quicksightによるダッシュボード構築に関しては他人に教えられるレベルで経験あり
  • フロントエンド・バックエンド
    • Remix + Supabaseでアプリケーションを構築できる程度
    • RDBのスキーマ構築
  • インフラ
    • サーバーレスのみ経験あり(Vercel, Cloudflare, Serverless Frameworkなど)
    • New Relicによる監視
  • ほか
    • OpenAI Embedding APIを使って類似度検索を実装したりできる

健エミュについて

4月の中頃、Wordpress体制からRemixを中心とする自前体制に移行した。 WordpressでUGM(User Generated Media) を構築しようとしたのが無理があったと今では思っているが、あの時はそれしかできなかったのだからしょうがない。技術力が前より上がったからできたことなのだと思う。

この辺に関しては近々LTするのでその時にまとめます。

孤独について

最初に残っている記憶は、父親が食卓を殴って味噌汁がこぼれる光景だった。5歳のころだった。それからずっと孤独の中にいた。

独りでいる時間が長すぎた。もう取り返しがつかないのかもしれない。24歳になった。覚悟を決める必要がある。

*1:Google Analytics基準