はじめに
健常者エミュレータは経験を通じてレベルを上げることができる。より効率的にレベル上げを行うためには、具体的にどのような能力を高めるのか、明確にする方がよいだろう。したがって、この文章では、まず健常者エミュレータの「高度化」を行う際のポイントについて説明し、Range(範囲), Accuracy(正確性), Integrity(完全性), Durability(耐久性)の四つのポイントをまとめて「RAID」を提唱する。次に、RAIDの各点をどのように高度化していくのか、具体的な手段について記述する。
健常者エミュレータ高度化のポイント:「RAID」
アクロニムが作りたかったんだよ!!!
"R"ange(範囲):対応できる状況の幅
Range=健常者エミュレータを作動させることができる状況の種類の数
まず一つ目のポイントが、健常者エミュレータを作動できる状況の種類の数を表す「Range(範囲)」である。例えば「職場での懇親会」や「学校の同窓会」、「初デート」や「風俗で相手と話す時」など、健常者エミュレータが作動する場面は複数考えられる。対応できる状況の幅を増やすのは「健常者エミュレータの高度化」に当たるだろう。
"A"ccuracy:対応の適切さ
Accuracy=対応がどれほど状況に適しているかの度合い
次のポイントが、状況を所与とした対応の適切さを表す「Accuracy(正確さ)」である。例えば、以下のような状況を考えてみよう。
あなた(男性)は母親の葬式に出ることになり、スーツを着ることになりました。どのようなネクタイを着用しますか?
- 赤いネクタイ
- 黒いネクタイ
- 金色に光り輝く星柄のネクタイ
この場合最も正確な対応は2の「黒いネクタイ」である。時・場所・場合に応じて(つまり状況を所与として)最も適切な対応を選ぶ能力がAccuracy、正確さだ。
"I"ntegrity:行動の一貫性
Integrity=行動の一貫性、ぼろを出さない能力
3点目が、行動の一貫性を表すIntegrity(完全性)だ。例えば、もしあなたが親の葬式で悲しそうにスピーチをした後、突然ニンテンドースイッチを取り出し楽しそうにゲームを始めたら、周囲の人間は健常者エミュレータ違反事例と判定するだろう。スピーチで演じた「親が死んで悲しむ息子」と「楽しんでゲームをする人」が同居する場合、一貫性の欠如とみなされる。健常者エミュレータによって導き出される行動はロジックが一貫していなくてはならない。
"D"urability:耐久力
Durability=健常者エミュレータを動作させ続けることができる時間の長さ
最後が、健常者エミュレータを動作させ続けることができる時間の長さを表すDurability(耐久性)だ。健常者エミュレータを動作させるためには多くの体力が必要になる。また、異常事態が発生した場合は一時的に消耗が大きくなってしまうこともある。消耗を防ぎつつ健常者エミュレータを動作させ続けなくてはいけない。
健常者エミュレータを高度化する手段
Range(対応できる範囲), Accuracy(対応の正確さ), Integrity(行動の完全性), Durability(健常者エミュレータの動作時間)の各ポイントを上昇させる手段について記述する。
Range:対応できる状況を一つずつ増やす
Rangeにおいては、対応できる状況を一つずつ堅実に増やしていくことが手段となる。対応できる状況を少しずつ増やしていくと、「ある状況で行った対応」を基にして、「別の状況での適切な対応」を推論できるようになる。例えば、面接でやったコミュニケーションのやり方を基に、大家に対して設備のトラブルを伝えられるようになったりする。
AccuracyとIntegrity:PDCAサイクルを回しながら自分の経験値を増やす
Plan(計画)→Do(実行)→Check(反省する)→Action(改善)→Plan...のPDCAサイクルは健常者エミュレータの高度化においても有効である。自分の行動に健常行動ブレイクポイントが含まれていなかったのか「振り返り」を行い、反省点を導く。反省点を踏まえ、次の行動を修正する。こうしてAccuracyとIntegrityは上昇する。
Durability:少ない耐久値でやりくりする
ここで新規概念を導入し、「健常者エミュレータを動作させるために必要な体力」を「CP(コミュニケーションポイント)」としよう。生まれついてのものなので、CPの最大値を増加させることは難しいだろう。しかし対策はある。少ない耐久値でやりくりできるようにすればよい。
具体的な手段としては
- 適度に休憩をはさみ、CPを回復させる
- 良く寝る
- 飯を食べる
- 気分転換をはさむ
- 一度のコミュニケーションで減少するCPを減らす
- パターンを内面化する(後述)
- 自分がCPを消耗する状況はどのような状況なのか特定する
- CPを消耗しやすい状況では回避行動をとる
- 苦手な話題が来た場合はしゃべらないようにする、など
- CPを消耗しやすい状況では回避行動をとる
などがある。
「型」を通じた内面化
「型」とは、
- 状況
- 状況に対する行動
- その行動をした理由
の組み合わせの中でも、状況に応じていて適切なものである。型を体得することで、RAIDをすべて上昇させることができる。型になりうるのは、健常者エミュレータ事例集Wikiにある項目や、過去の自分や他人の経験から導き出される反省点である。
おわりに
以上、健常者エミュレータを高度化させる際に重要になるポイントと、具体的な高度化の方法について述べた。健常者エミュレータを高度化させる際には、「Range(範囲)」「Accuracy(正確性)」「Integrity(完全性)」「Durability(耐久性)」の四点に気を付ける必要がある。この四点は、対応できる状況を一つずつ増やすこと、PDCAサイクルを回しながら自分の経験値を増やすこと、もしくは「型」を「状況」・「状況に対する行動」・「その行動をした理由」の組としてとらえ、脳内に組み込むことで高めていくことができる。
健常者エミュレータを高度化する際のポイントや、高度化の具体的方法に関しては議論が抜け落ちている可能性がある。指摘等あればTwitterのDMまでお願いします。